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花輪理事長の独り言

レジナビフェアに参加

6月15日、東京ビックサイトで開催されたレジナビフェア2014 for Resident in東京に初めて参加しました。会場は日本全国より大学病院をはじめ有名病院が参加し、約300施設と多数の病院が参加していました。

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当院は、ちちぶ医療協議会の1病院として、秩父生協病院と一緒に参加しました。

当院の医師育成ポリシーである、

『地域医療を担うことのできる医師、すなわち、専門性を併せ持った総合医の育成』をキャッチフレーズに、

具体例として

1、   日本外科学会・日本消化器外科学会専門医の取得と外傷外科・整形・形成外科等の

   基本的知識と技術習得による、一般外科医の育成

2、   日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会・日本プレイマリ・ケア学会認定家庭医の

   取得を基礎とした、総合診療内科医の育成

を掲げ、また、日本外科学会定期学術集会で発表した『地域の外科医療を支えるための当院の取り組み』をポスター展示し、研修医の先生方に訴えました。

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折しも、ワールドカップ、日本対コートジボアール戦があり、この影響か?後期研修医の先生方の参加が例年より少なかった様ですが、当院のブースには5名の先生方が来られました。地元秩父出身の方も2名おり、今後の経緯が期待されます。当院よりは救急対応に対するテーマディスッカッションにパネリストとして、山田正己先生が参加しました。

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今回、参加の準備から始まり、実際に参加してみて、大学病院等では出来ない、当院ならではの医師育成の可能性を改めて実感した次第です。


第114回日本外科学会定期学術講演会で学会発表を行いました

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2014年4月3日京都で開始された上記学会に大野哲郎先生が『地域外科医療を支えるための当院の取り組み』という演題で発表しました。

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内容は医師の確保が根本で、そのための方策として、若い医師にとって魅力ある病院となることが重要であり、当院が行っている様々な取り組みを紹介しました。また目標は当院のポリシーである『地域医療に役に立つ医師の要請』であることをアピールしました。聴講された先生方よりの質問も多く、有意義な議論が行われました。

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~特別講演~

 山中伸弥教授による  『iPS細胞研究の現状と再生医療に向けた取り組み』

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埼玉県外科医会学術講演会が開催されました

平成26年3月8日、秩父外科医会が企画運営し『地域医療における外科医と総合医』というメインテーマで講演会が開催されました。

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内外より100名を越す多くの先生方が参加され、講演会後の懇親会も極上ワインに酔いしれ、大変な盛り上がりでありました。その内容を簡単にご紹介します。

 

1、 基調講演  前慶応義塾大学病院長 相川直樹先生

   『地域医療における外科医と総合医』

相川先生は日本の救急医療、感染症、ショック等の第1人者です。また、アメリカ、カナダの日本大使館のメディカルアドバイザーや医師国家試験や医道審議会の委員長等、国の医療行政にも深く関与している先生です。広い見識から、近年大きく変貌した外科全般の状況を明確に指摘し、地域医療における今後の外科診療について大きな示唆を頂きました。

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2、教育講演  日本医科大学総合診療科教授 安武正弘先生

   『日本医科大学における総合診療科の役割』

安武先生は同大学の総合診療科最初の大学院教授で、専門は循環器疾患 ですが、大学病院における総合医の役割について、総合医育成を含め、専門医の視点からのご講演を頂きました。

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3、特別発言  秩父外科医会員  南須原医院 南須原宏樹先生

   『在宅での麻酔科的緩和医療』

在宅医療の現場のご講演を頂きました。先生は麻酔科専門であり、在宅 における緩和医療等のご講演を頂きました。 

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4、特別講演 元内閣府・厚生労働事務次官、前人事院総裁 江利川毅氏

  『霞ヶ関(政と官)のよもやま話』

江利川氏は国の重要ポストを三度努め、国の行政に広く関わっている方で です。今回、氏の多くの知見の中から、貴重な内容のご講演を頂きました。

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5、総括発言 埼玉医科大学名誉教授 尾本良三先生

尾本先生は心臓外科医として有名な方ですが、総合外科医の元祖とも言え るスーパードクターであります。先生よりは、「素晴らしい講演会であった」とのお褒めの言葉を頂きました。

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~懇親会~

本強矢先生のご協力により、高級フランスワインをご準備頂き、『秩父ワイン会』が行われました。

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秩父屋台ばやしの演奏とワインが場を和ませ、あちこちで笑いと楽しそうな会話が生まれていました。多くの方が本当の懇親が出来たのではと、企画運営した我々も満足しています。

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大雪の影響

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2月14日から降り始めた雪は経験したことのないものでした。北国や雪山ではいっぺんに1m以上降ることも珍しくはありませんが、秩父でこんなに降ったことはありません。しかも、おも~い雪が1日で1m以上積りました。私は学生時代、山岳部、スキー部でありましたので、ヘリポートの横のお社、移植した梅の木が心配で、雪落としのために雪の中に踏み込みましたが、わずか20mの場所に行き着くのに、30分かかりました。ラッセルした深雪の底は青くすんでとてもきれいでした。

DSC02827@.JPGしかし、そんなのんきなことを言っていられない状況でした。普段の環境がいかに恵まれていたかが良く分かりました。

DSC02817.JPG救急車は病院まで辿り着けず、1km程そりでの患者搬送でした。

DSC02820.JPG患者の給食食材の配送が来なくなり調達に出かけました。

給食は給食スタッフのお蔭で、通常通り何事もないように提供されました。

病院スタッフは遠いものでは、長瀞、小鹿野より雪の中を5時間もかけて徒歩で病院に来てくれました。驚きを通り越し、感激しました。当院のスタッフは正に医療職のプロと言っていいと誇りにおもいました。

DSC02748.JPGDSC02727.JPG防災ヘリの着陸要請もあり、急遽、総出でヘリポートを除雪しました。大変なエネルギーでした。今、除雪機を一台発注しました。届くのが楽しみです。

DSC02863.JPGDSC02878.JPG病院はどんな時でも平常通り続けることが大切です。今回も3年前の大震災の時と同様に、どうにかそれを維持できました。孤立状態になった時こそ役に立つヘリポートもいつでも準備OKです。

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1年の締め括りに・・・

12月30日 餅つきをしました。職員の昼食には、収穫したばかりの赤蕎麦のもり蕎麦と、つきたてのお餅を出すことが出来ました。皆さんご苦労さんでした。

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旧秩父病院への想い

早いもので、当院が宮側町からこの場所に移転してより2年9か月となる。熟慮の末、旧病院の建物は解体することにした。様々な思い出が詰まった病院の解体は未練もあり、寂しいことではあるが、空き家となった病院をただ見ていることも忍びないことである。

せめて、恐らく100年以上の間、秩父病院を見守って来たであろう木々だけは生き続けてもらいたいと思った。私が子供の頃はもっと大きかった木蓮、その頃も今と変わらない老木であった、皮だけで立っている梅の木。それと長女の誕生記念に植えた桜の木や中庭にあった木々。これらを12月の初旬に和泉町の新しい病院の敷地内に移植した。新しい地に根ざしてほしいと願っている。

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研修医の学会発表・論文

2013年11月16日(土曜日)に埼玉県県民健康センター行われた埼玉県外科集団会に日本医科大学付属病院より当院に地域医療研修できている初期研修医の田邉智英先生が学会発表を行いました。

演題は『当院にて経験した異所性子宮内膜症の2例』で司会者よりの質問にも適確に答え、「外科医として常に念頭に入れなければならない、貴重な症例提示」とのコメントを頂きました。

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 今年2月14日(日曜日)に行われた埼玉県医学会総会にて、日本医科大学付属病院の初期研修医の青山純一先生と埼玉医科大学病院の初期研修医の平田優介先生が発表した2演題が論文として埼玉県医学会誌に掲載された。それぞれ『画像診断にてfree airを認めた腸管嚢胞性気腫の2症例』『地域における高次救急施設での加療を要する重症患者への対応の実情』である。いずれも初期研修医の域を超えた立派な論文と思う。現在はそれぞれの大学で研鑽中の彼らに別刷を送付した。彼らが成長して行く上で、大きな財産と成って行くことを期待したい。

*論文はPDFにて閲覧できます。


埼玉県外科医会誌に下記タイトルを投稿しました

地域医療を支えるための当院の取り組み

多少おこがましいタイトルではあるが、『地域の患者さんが地域で十分な医療を受けられること』が私の願いである。残念ながら、いまだこの達成には程遠い状況ではあり、今後も見果てぬ夢となりそうであるが、少なくともこれらを意識し40年以上地域医療に没頭してきた。心筋梗塞や脳卒中は別として、消化器疾患の分野においては、多少とも地域外科医療を支えるための役割を果たしてきたと自負している。

来年の第114回日本外科学会定期学術集会のメインテーマは『地域医療と高度医療の連携』とのことで、当院は、地域医療関連セッション2 『地域外科医療を支えるための工夫』(公募・一部指定)に『地域外科医療を支えるための当院の取り組み』と言う演題を応募した。公募の趣旨は以下のようなものである。

(近年、一般外科医の減少が指摘され、特に地域医療崩壊が叫ばれる厳しい状況のなか、地方においても中央と遜色のない再先端の医療レベルを確保し、維持するために、様々な工夫が行われています。学生や若手医師の視線で魅力的な地域外科医療とは? 少ないスタッフで地域格差をなくすには? 手術症例の集約化は是か非か? 大学病院とは異なる、地域外科医医療を支えるための戦略と工夫を広く募集します)

当院の演題抄録の要旨を紹介する。

(近年の医学の進歩は著しく、より特化した知識と技術を備えた専門医が重要視されてきた。しかし、一方で、より広い領域に対処できる総合医の必要性も叫ばれている。当地域には大学病院のような全ての専門科がそろった総合病院はないが、地理的にも、生活・文化圏的にみても、可能な限り自院、あるいは地域内で対応する必要がある。高齢化は深刻であり、総合的診療能力と包括ケアのマネイジメント能力を持った臨床医の必要性も迫られている。このことは同時に、当地域がこのような臨床医の育成に適しているとも言える。地域外科医療を支えるためには、まず医師の確保である。当院で研修した初期研修医に行った今後の研修病院を選ぶ根拠に関するアンケートでは、第1に指導医がいること、以下、各種専門医の受験資格が取れること、症例数が多いこと、医療の進歩に遅れないこと等であった。これらを踏まえ、若い医師達に選ばれる病院を目指し、各種専門医取得を視野に入れた後期研修プログラムを作成した。昨秋にはプライマリ・ケア連合学会認定後期研修プログラムも認可された。中央と遜色のない医療レベルの確保のため、大学との人事交流を積極的に行うことも重視している。地域医療機関と高度医療機関、お互いが習得不可能な分野を補填し合う連携が必要である。当院では、いわゆるアッペ・ヘモ・ヘルニアや、穿孔等の緊急手術、消化器癌開腹手術等を若い外科医に経験してもらうと同時に、高度医療機関で行っている腹腔鏡手術等も積極的に取り入れている。また、開放病床の提供とオープンシステムを実践し、地域診療所の整形外科、脳外科等の専門医の協力を得て、教育および地域の医療レベルの確保に努めている)

外科に限らず、地域医療を支えるためにもっとも重要なことは医師と医療の質の確保であると承知している。このために、私どもに出来うる具体的な方法を整理してみた。外科医会誌で紹介させていただき、果たして日本外科学会に採用されるか分からないが、これらを基本として発表演題を完成させて行きたいと思う。

1、       医師の確保 : 若い医師達から選ばれる病院となるために

①    各種専門医取得を視野に入れた後期研修プログラムの作成

②    先進医療への取り組み (腹腔鏡下手術、内視鏡手技等)

③    一般外科医として多くの症例を研鑽できることをアピール

④    初期研修医の積極的受け入れと指導。(現在、埼玉医大・日本医大系列7病院の研修協力施設となっている) 研修医の積極的な学会発表の実践

⑤    大学病院よりの若手医師の派遣要請と派遣医師への指導

⑥    子育て中の女性医師の受け入れとブランクのある医師への支援、雇用

⑦    専門医、指導医の招聘、雇用

⑧    地元出身医師の積極的招聘、雇用

⑨    広報活動 広報誌(ちちぶ病院だより)・ホームページの作成

2、       医療レベルの確保

①    大学との人事交流(大学の専門医による専門外来の開設・腫瘍内科、乳腺外科、形成外科等。大学指導医による当院への出張指導等)

②    開放病床とオープンシステムの実践(地域診療所の整形外科・脳外科等の専門医による手術等)

③    医療の進歩に遅れないための技術、手術の導入

(1985年低位前方切除術、1990年胃切除後再建に器械吻合導入。1992年腹腔鏡下胆のう切除術。今年より腹腔鏡下胃切除術、早期胃がんに対するESDを開始)

④    常勤外科医のレベルアップ(専門医取得・学会活動を含む)

⑤    個々の医師の守備範囲の拡大(一般外科医あるいは総合外科医としての研鑽)

⑥    地域診療所専門医による各専門外来診療

⑦    月1回の医師会症例検討会への積極的参加

⑧    学会への積極的参加・論文発表等の学会活動

⑨    月1回開催の医師会外科医会での勉強会・講演会での研鑽

⑩    地域他病院外科医師への手術指導(院内および出張指導)

⑪    出来うる限りの学会認定修練施設の取得(日本外科学会・日本消化器外科学会・日本消化器内視鏡学会・日本プライマリ・ケア連合学会等)

 以上を分析すると「医師の養成・確保」「学会発表、地域症例検討会を初めとする学術活動」「新しい医療の導入」「医療連携」が地域医療を支える基本と考えられる。この内、『医師の養成』につき、私の考えを独断と偏見は承知の上で述べたいと思う。

『地域に役に立つ医師、求められる医師の育成』が最近の私の夢である。

最近、特に力を入れていることに初期研修医の教育がある。現在埼玉医科大学系列および日本医科大学系列の計7病院より2年目の初期研修医が当院に地域医療研修に来ている。この1年間の当院からの研修医の学会発表は5回を数えた。彼らがいると私のみならず病院スタッフ全体が活性化されると同時に、彼らに何かを伝えたいと思いが募るのである。これは、単に年寄医者のエゴばかりではない。地域医療の現場から眺める最近の医療の現状が、あまりにも偏った歪な型となってしまっており、何かを言わなければ、何かを伝えなければ大変なことになるという焦燥から来るものと感じている。地域医療の現場でこそ伝えることができるものがある。また、彼らから教わるもの、彼らとの触れ合いで気づかされることも数多くある。

 専門バカでなく、視野の広い医者・総合医を地域で育てたいと思う。

一口に総合医といっても様々な言い方、捉え方がある。家庭医、プライマリ・ケア医、救急医、総合診療医、総合内科医等である。私は総合医というからには、内科・外科系に限るものではなく、急性・慢性、あるいは初期医療やトリアージに限定すべきものとは思わない。厚労省は専門医制度改革に着手している。数年後には基本領域に内科、外科等と並列して『総合診療科』が加わるという。この総合診療科の目指すところ、すなわち国が養成しようとしている総合医は、在宅医療を担うための専門医と思われる。病院から在宅へ、治す医療から支える医療へ、地域で、多職種で患者と家族を支える包括ケア。そのリーダーシップをとる医者、マネイジメントの出来る医師の養成である。確かに必要なことと思うが、私には今一つピンとこない。

私の考えている総合医のイメージはかなり違う。簡単に言えば、『その地域に役に立つ医者』のことである。離島ならば、あのコトー先生が理想であり、秩父ならば、逆説的だが、専門バカでない医者であろう。私は当院に研修にくる初期研修医達にいつもこう言っている。彼らの多くはまだ何科に進むか決めてない者も多い。だから「まず、内科認定医か外科専門医を取ること。出来ればその両方。それから各専門医の道を進めば良い。時間はたっぷりあるよ。だって医者は一生の仕事だから」しかし、いまだ外科と内科の両方を目指すという私のアドバイスを実行した人はいないようである。若い時は気がはやるし、性格の向き不向きがあるから仕方がない。自分も早く一人前になりたいと思ったので、卒業後すぐに外科に入局したので気持は良くわかる。だからこれは医者を四十年余りやって来たからこそ思う、臨床医の一つの理想像と思っている。ただ、私の思い描く総合医とはそんなに難しいものではなく、もっとシンプル、昔ながらの『お医者さん』の姿である。頭痛は脳外科・神経内科、肺炎は呼吸器、高血圧は循環器、外科にしても総て臓器別各科へ紹介。子供のヘルニアやアッペは小児外科がやるべきもの、あげくは大学病院でさえ麻酔医がいなくて手術が出来ない、小児外科医がいなくなったから、子供のアッペやヘルニアが出来ないとなる。なんでこんなに面倒くさくなったのだろう。私の言うことは間違っているのであろうか。古いのであろうか。なるほど、私は今になって親父の背中を追いかけているのかも知れない。

平成26年3月8日 埼玉県外科医会学術講演会が開催される。秩父外科医会が担当であり、テーマを『地域医療における外科医と総合医』とした。日本外科学会のメインテーマも『地域医療と高度医療の連携』であり、日本外科学会が地域医療に目を向けてくれたことは、地域医療に従事している者として喜ばしいことである。できれば、単に紹介・逆紹介等の連携に留まらず様々な問題についての議論を期待したい。例えば、厚生労働省の医療費削減路線である効率化、役割分担という体の好い言葉に隠れ、彼らの言う医療供給体制の見直しに内蔵されている、地方医療切り捨てについて。あるいは私には学会の権威主義の表れでもあると思われる手術や高度医療の集約化等、その是非を真剣に議論する場となれば有り難いと思っている。地域医療と高度医療・日本の医療の正しい在り方、さらには専門医と総合医について、喫緊に議論、検討すべきというメッセージと捉えたいと思う。

過日、私は来年春の日本外科学会定期学術集会会頭の上本伸二先生に手紙をかいた。その理由は、現在検討されている新専門医制度のなかで、新たに基本領域として新設されるであろう、総合診療科(仮称)についてお願いしたいことがあったからである。総合医あるいは総合診療専門医がどういう医師像であるべきかは、多くの見解があり、今後十分な議論がなされるべきと思われるが、この研修プログラムの内容は内科、小児科、救急が必須であり、外科が必須となっていないことに違和感を持った。そこで、私は内科と同程度に一般外科の基礎があってこその総合医であると思うという私の考えを会頭にお伝えし、ご理解を賜りたく思った。そして日本外科学会がプログラムの作成に関与して頂きたいとお願いしたのである。光栄にも上本先生より、ご理解と前向な返信を頂いた。光栄に思っている。

私は医療が抱える臨床、教育、研究分野の中で、人を癒すという大きな意味において、地域の臨床医療が大学病院等の医療に必ずしも劣っているとは思っていない。また若い医師の教育や自己研鑽においても同様である。もちろんどちらが良いと競うべきものではないが、若い医師が成熟していく上で、地域医療の現場でこそ磨ける分野は大きく、地域医療と高度医療の現場がお互いを補填し合うべきものと考えている。

また、特殊な高度医療を除き、急速な医療の進歩の恩恵は特定の医療機関や地域、あるいは選ばれた患者のみが受けるべきではない。日本の医療全体の底上げこそ必要であり、患者および家族の立場に立った全人的、社会的、文化的な要素をも含有した医療がなされるべきである。さらに極端な専門志向の反省、あるいは総合医や一般外科医についての活発な議論が行われることを期待したい。


新しい医療の導入

平成25年4月に大野哲郎先生が当院に着任しました。大野先生は群馬大学医学部消化器外科出身で胃疾患を中心に診療、研鑽を積んで来た、新進気鋭の外科医であります。特に腹腔鏡下胃切除およびESDが得意分野の一つで、当院着任後もすでに噴門側胃切除術1例、幽門側切除術2例、早期胃がんに対するESD3例を行っております。

当院の医療の質と幅が大きく広がったことは、当院だけの問題ではなく、秩父の外科医療、消化器疾患の医療の充実につながることでもあり、嬉しい限りです。今後も当院の利点である、小回りの利くチーム医療と迅速な環境整備を進め、スタッフが一丸となって、地域医療の充実の一助となるべく努力していくつもりです。

秩父病院だよりonline 2013年秋 No.41をご覧ください。


当院における他職種の実習生

他職種連携、最近良く聞く言葉である。医療は多くのスタッフの連携が必要、すなわちチーム医療の重要性が叫ばれている。当院にも多くの実習生が来ている。特に夏休み期間中は多彩であった。

秩父看護専門学校

臨地実習は、年間を通じて当院での研修がある。1年生の病院見学程度のものから、2年生の慢性期、3年生の急性期の実習がある。当院の受け入れ態勢も看護学生実習指導者を毎年養成しており、計7名と充実してきた。私が主に関係するのは、手術患者の説明、麻酔、手術の解説や講義である。学校長を辞めて3年たったが、3年生は私が入学試験の面接、入学式の式辞をやったので、親しみがある。手術を見学している学生たちの目は真剣で美しい。

PA110692.JPG 初期研修医

当院では研修医は即戦力となる。彼らの知識は素晴らしく、何でも吸収したいという意欲は初々しくて好感が持てる。どんどん教えてあげようという気持ちになり、スタッフ全員が全力で指導している。何でも吸収したい者と指導したい者、とってもいい関係である。指導する立場の我々が活性化されて行くのであるから、若い人の力は素晴らしい。すでに3人が学会発表を行った。内2人は論文を作成した。11月の埼玉県外科集団会には今研修している日本医科大学初期研修医の田邊智英君が発表予定である。私を含む常勤医師達も刺激されて、来年の埼玉県医学会総会、日本外科学会学術定期集会に演題を応募した。私は5年間温めていた「当院の腹壁瘢痕ヘルニアの術式」をまとめたので、発表してもらおうと思っている。

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 救急救命士

 二次救急当番日に秩父消防の救急救命士が当院で研修している。救急車で運ばれてくる重症患者に対し、当院のスッタフと一体となった救命処置から一般救急外来の見学。救急患者の診断から治療に至る一連の流れを体験してもらっている。内視鏡をはじめ各種検査、主に全身麻酔下での手術の見学も行っている。秩父管内ではすでに30名を超える救急救命士が養成されたという。患者にとっても、救急病院にとっても重要な役割を担う救命士、適格なトリアージと高度な救急救命処置ができるよう、全員、個々のレベルをさらに高めて行ってもらいたい。

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 医療事務実習生

 今回は熊谷にあるアルスコンピュータ専門学校の学生が二人当院で実習した。いつもリクルートスーツに身を包み、礼儀正しい女の子達であった。事務部門の実習だけでなく、放射線科や人間ドッグ、病棟や手術室の見学、体験を興味津々な眼差しで取り組んでいた。初めての手術見学も倒れることなくしっかりと見学していたので、ほっとした。頑張ってほしい。

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P8290937.JPG 高校生、中学生の職場体験

 皆野高校、農工高校、小鹿野高校の生徒が職場体験に来た。11月には影森中学生が来る予定。中学生は患者さんに接する場所でなく、いわゆる職場見学、社会授業である。将来、彼らの仕事選びの際に何らかの役に立つといいと思っている。今回の職場見学が刺激になり、できれば医療、看護の道に進んでくれればありがたい。高校生はほとんどが看護師希望の生徒であった。当院の医療現場に触れて、その意欲が膨らんでいくことを期待したい。看護師不足対策はこの年代より始めて行かなくてはいけない、気に入ってくれただろうか。

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 管理栄養士を目指す学生

  今回初めて、女子栄養大学4年生1名の実習生を受け入れた。チーム医療の実際、糖尿病患者さんへの栄養相談の実際を学びたいとのこと。管理栄養士が病棟に出向き患者さんや他職種とコミュニケーションをとることで情報を得て、さらにカルテや検査データから患者さんの状態をアセスメントし適切な栄養管理、食事指導を行うという実践的な内容の実習に真剣に取り組んでいた。NSTカンファレンスへ参加したり、糖尿病専門医から講義を受けたり、薬剤師の業務体験もし、NST親睦会(暑気払い?)にも参加した。そして最終日「秩父病院に実習にきてよかったです」と話していた。将来は秩父地域の病院や福祉施設への就職を考えているという。管理栄養士も医療スタッフの一員として臨床の現場でどんどん活躍してほしい。

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 9月の症例検討会に県内大学の医療系学生が参加

9月30日に行われた症例検討会に多くの医師会の先生方の参加に加えて、埼玉県立学校の副学長の萱場一則先生以下、保健医療福祉学部の学生さん、埼玉医科大学、自治医科大学および明海大学の学生さん達が参加した。症例発表も多くあり、私は、来年の日本外科学会定期学術集会の『地域外科医療を支えるための工夫』のセクションに応募した『地域外科医療を支えるための当院の取り組み』という演題のお話しをした。その内容は当院で研修した初期研修医へのアンケート結果をもとにまとめたもので、以下の如くである。

当院のコンセプト

『地域の患者さんが地域で十分な医療を受けられること』

『地域医療に役に立つ医師、求められる医師の育成』 

1、       外科医師の確保 ・ 若い医師達から選ばれる病院となるために

①    各種専門医取得を視野に入れた後期研修プログラムの作成

②    先進医療への取り組み (腹腔鏡下手術、内視鏡手技等)

③    一般外科医として多くの症例を研鑽できることをアピール

④    初期研修医の積極的受け入れと指導。(現在、埼玉医大・日本医大系列7病院の研修協力施設となっている) 研修医の積極的な学会発表の実践

⑤    大学病院よりの若手医師の派遣要請と派遣医師への指導

⑥    子育て中の女性医師の受け入れとブランクのある医師への支援、雇用

⑦    専門医、指導医の招聘、雇用

⑧    地元出身医師の積極的招聘、雇用

⑨    広報活動 広報誌(ちちぶ病院だより)、ホームページの作成

2、       医療レベルの確保

①    大学との人事交流(大学の専門医による専門外来の開設・腫瘍内科、乳腺外科、形成外科等。大学指導医による当院への出張指導等)

②    開放病床とオープンシステムの実践(地域診療所の整形外科・脳外科等の専門医による手術)

③    医療の進歩に遅れないための技術、手術の導入

(1985年低位前方切除術、1990年胃切除後再建に器械吻合導入。1992年腹腔鏡下胆のう切除術。今年より腹腔鏡下胃切除術、早期胃がんに対するESDを開始)

④    常勤外科医のレベルアップ(専門医取得・学会活動を含む)

⑤    個々の医師の守備範囲の拡大(一般外科医あるいは総合外科医としての研鑽)

⑥    地域診療所専門医による各専門外来診療

3、       その他

①    地域他病院外科医師への手術指導(院内および出張指導)

②    出来うる限りの学会認定修練施設の取得(日本外科学会・日本消化器外 科学会認定修練施設関連施設、日本消化器内視鏡学会)プライマリ・ケア連合学会認定総合医研修プログラムの申請

③    月1回開催の医師会外科医会での勉強会・講演会での研鑽

④    月1回の医師会症例検討会への積極的参加。学会活動、論文発表 

県内学生との交流

さかのぼって、平成25年9月1日、埼玉共済会館で、埼玉県の4大学、埼玉医大、防衛医大、明海大学、埼玉県立大学の学生達より依頼を受け、『医療と福祉の連携・、多職種連携』という内容の講義を行った。50人近い学生たちの参加があった。

超高齢化社会に備えて、学生たちが社会保障(包括ケア・医療スタッフの多職種連携等)に大きな関心を持っていることを知って感心した。遊んでばかりいた私の学生の頃と比べると雲泥の差である。大変勉強になった。しかし、若い人はもっと子供っぽい方が良いとも思った

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プロフィール
秩父病院理事長 花輪 峰夫

秩父病院理事長 花輪 峰夫

人と人との触れ合い医療を実践し、患者さんから信頼され、スタッフが気概を持って、地域に貢献できる病院を目指します。

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