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院長ブログ

新型コロナウイルス感染・第六報(2020年10月21日)

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2020年5月9日に第一報を院長ブログにアップしてより今回は六回目となります。その頃の当院の庭はポピーが満開でありましたが、その後ニッコウキスゲに代わり、今はコスモスが咲き誇り、もうカエデが色好き始めています。振り返れば、中庭に福寿荘が咲いていた2月よりの長いコロナとの戦いでありました。しかし、まだまだ終わっていません。

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第五報(2020年8月1日)をアップした当時より現在まで、コロナの関する様相は刻々と変化して来ました。

秩父地域でも夏に多くの感染者が出ましたが、その後も散発的に発生し、2020年10月21日現在は38名を数えます。東京や全国の発生状況もくすぶり続け、今や、日本の感染者は94000人を超え、死者も1600人を超えています。(10月20日・NHK)世界の感染者は4000万人を、死者112万人を超えました(10月21日・ジョンス・ホプキンス大学のまとめ)で、一向に収まる気配はありません。欧州やアメリカ等では再燃傾向で、特にイタリアとフランスは1日の感染者数が過去最高を記録したとのこと、再びロックダウンも必要な情勢です。

 

昨今の新型コロナウイルス感染に対する社会状況は「感染防御か経済か?」が大きな問題になっています。県境をまたぐ移動の自粛が解除され、イベントの観客数の緩和、Go to Travel・Eatなどが実施されるようになりました。国外との人の行き来も少しずつではありますが始まりました。

一方で、感染者は都会のみならず、全国に広がり、夜の街に止まらず、家庭、職場、学校等にまで広がり、さらに感染経路が分からない感染者も増えています。

ホテルや旅館、居酒屋やレストラン、観光施設等では経営困難に陥る施設が多発しています。誰しも食べていかなければなりません。規制、自粛の解除は致し方ない方向ではあります。しかし、この結果、感染が増大すれば、再びの自粛、規制強化が必要となり、悪循環に陥ります。世界規模で閉塞感が漂っているように感じます。

感染をある程度抑えながら、経済も復活させる。考えても考えても答えの出ない難題であります。

 

一方、今までの経験・知見から、新型コロナ感染症の特徴が分かってきました。

1、感染力が強い 2、感染リスクの避け方 3、感染しやすい環境(密閉、密接、密集)、 4、持病を持った高齢者、肥満体質の患者は重症化し易い 5、若者は無症状者や発症しないものも多い 6、飛沫感染が多い・換気がより重要、等々です。

また、日本人が欧米諸国等に比べ感染率や特に死亡率が低いことについても様々な推測がなされています。

 

私なりの考えを以下に書き綴ります。

まず、感染対策として、我々が社会人として出来ることは、第一に、『三密を避ける、加えてマスク着用、手洗を徹底すること』つまり『コロナ禍のマナーを守ること』であります。新型コロナウイルス感染の特徴をよく知り、『感染しない、感染させない』ことが唯一我々にできる行動であると考えます。

第二に、「そのうえで、必要以上にコロナを恐れず、引き籠らず、積極的に従来の生活と行動を取り戻すよう心掛けること」と思います。この二つが感染抑制と経済再生のための唯一の処方箋と考えます。

 

では我々医療機関にできることは何でしょう。

まず、病院の院長として、最も恐れるのはやはり院内感染であります。

発熱がないから安心というわけではありません。感染者はどこにいるか分からないのです。無症状者、軽症者といえども、他人に感染させることもあるのです。100%感染を防ぐことはできません。仮に、無症状の感染者が、手術や他の疾患、外傷等で入院したとして、お年寄りが多い入院患者に感染すれば、その結果は、考えるだけでも恐ろしいものです。

 

また、その他の問題として、このコロナ禍で医療機関への受診抑制が起こっていることも問題です。コロナ患者に積極的に対処している医療機関、特に感染者の入院を受け入れている医療機関程この傾向は強く、経営に支障を来たしている所もあるとのことです。さらに、風評被害や医療者への偏見・差別や誹謗すらあるという話を聞きます。これが事実とすれば、本当に悲しいことです。

また、症状があるのに、感染が怖いとの理由で病院に行くのをためらい、早期発見・早期治療を逃してしまうことがあるとしたら、これも大問題です。何も新型コロナだけが病気のすべてではありません。本末転倒と言わざるを得ません。これも一つの医療崩壊と言えます。

 

話を戻し、当院がやってきたこと、やるべきことをお話しします。

現在、埼玉県の感染状況はフェーズ3に止まっており、現状の当院の新型コロナウイルス感染者に対する受け入れは5床、フェーズ4に備え、7床の体制を整えています。

夏の一時期は保健所からの依頼の濃厚接触者に対する抗原及びPCR検査件数は大幅に増えました。ほかに医師会員よりの依頼であるPCRセンターとしての検査、当院の発熱外来としての検査、加えて、緊急・予定入院患者さんに対する検査は毎日行われており、2020年10月20日現在、抗原検査479人、PCR検査921人計1400件を超えます。

一時期は保健所の要請により、何人かの感染者に対し入院加療もおこないましたが、幸い皆元気に退院出来ました。これらの経験から、院内の感染対策は日に日に充実して来ていると自負していますが、常に不安を感じつつ日常の診療を行っているというのが現実です。

冬に向かって、インフルエンザとのダブル流行が懸念されています。

それでも当院は地域病院の使命として、今までと変わらず、新型コロナウイルス・インフルエンザに対処して行こうと考えています。

 


プロフィール
秩父病院院長 花輪 峰夫

秩父病院院長 花輪 峰夫

人と人との触れ合い医療を実践し、患者さんから信頼され、スタッフが気概を持って、地域に貢献できる病院を目指します。

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